路線価方式による宅地の評価は、接道と地型による計算方法になっています。
路線価図は国税局のサイトから、地積測量図は登記・供託オンライン申請システムから取得します。
不整形地の補正が計算の中心になります。
計算結果は、土地及び土地の上の存する権利の評価明細書に記載します。
概要
路線価図に路線価があったり、倍率表で「路線」となっている宅地は路線価方式で評価するんだね。
そうよ。
地積測量図が必要だから、申請して取り寄せておいてね。
地積測量図は何に使うの?
「想定整形地」っていう長方形を落とし込んで長さを測るのよ。
実際に測量しなくてもいいんだ。
必要ないわ。
いろいろ補正の計算があって面倒だけどがんばってね。
路線価による宅地の評価には、地積測量図と路線価図を使います。
地籍測量図は、登記・供託オンライン申請システムから取得します。
路線価図は、国税庁のサイトからダウンロードします。
路線価図の平米単価を基に、地積測量図で確認した土地の形状による加算率と補正率で調整した平米単価を、地積に掛け合わせて土地の評価額を求めます。
間口と奥行を測る
間口と奥行って、道路の辺と奥までの長さだよね。
そうだけど、現実はそんなに単純じゃないの。
分譲地みたいにキレイな長方形の土地なら測って終わりだけど。
ウチは角地で長方形じゃないよ。
だいじょうぶ。
いろんなパターンで測り方が決められているわ。
間口と奥行
間口
道路に接している長さです。
2路線以上に接しているときは、路線価が高い方が正面間口となります。
奥行
間口と反対側の辺の距離です。
評価額の計算に使う奥行は、測った奥行と地積÷間口のどちらか短い方を取ります。
間口と奥行の例
角地で2路線に接しているときは、それぞれの間口と奥行を測ります。
土地の形状と想定整形地
土地が長方形でないときは、想定整形地により間口と奥行を求めます。
想定整形地は、設定する間口を一辺とし、土地の角を通過する辺を持つ長方形です。
想定整形地の例
想定整形地を設定する
想定整形地って長方形を当てて間口と奥行にするんだね。
長方形は定規で書き入れてもいいし、Excelで落とし込んでもいいわよ。
想定整形地の設定は、地積測量図のコピーに定規で整形想定地を書き込んでもよいですが、Excelの図形を利用することできれいにできます。
Excelで想定整形地を書き込む
地積測量図をスキャンする
地積測量図を画像(jpg)として保存するようにスキャンします。
文書扱いだと、PDFで保存される場合があります。
地積測量図全体をスキャンする必要はなく、土地全体が範囲にあればOKです。
スキャンした画像は、A4サイズより少し小さくなるサイズでトリム(切り取り)しておきます。
Excelに画像を挿入する
Excelにトリムした画像を挿入します。
挿入した画像を、上下または左右に拡大・縮小しないでください。
土地の形状が崩れます。
画面の拡大・縮小は、右下にあるズーム(スライダー)を操作して行います。
画像を挿入したら、一旦印刷プレビューで地積測量図の画像が1ページに収まっているか確認します。
画像が大きく、1ページに収まらないときは、余白を小さくすると収まる場合があります。
余白では調整しきれないときは、収まるサイズになるよう再度トリムします。
サイズを合わせる
挿入した画像が、紙の地積測量図と同じ寸法になるように調整します。
申請人の枠の長さなどを基準に、紙の長さと同じになるよう、モニタに定規を当てて、画像の右下隅を左上または右下に移動して調整します。
四角形を挿入する
続いて図形の四角形を挿入します。
図形の書式設定で、塗りつぶしなしを選択・線の色(青など)の変更・実線/点線で点線を選択します。
想定整形地として配置する
1つ目の想定整形地を配置する
四角形を移動して、間口となる辺に四角形の辺を合わせます。
ズームで300%程度まで拡大して操作すると、微調整が楽です。
続いて、四角形の辺を、土地の角を通過するよう移動します。
間違って地積測量図の画像を移動したときは、Ctrl+Zで戻します。
2つ目の想定整形地を配置する
同様に、線の色を変えた(赤など)四角形を挿入し、もう一つの間口に合わせてから、土地の角を通過させます。
間口と奥行の長さを測る
この段階で一旦プリントアウトするか、モニタに定規を当てて、間口と奥行の長さを測ります。
定規で測った長さを縮尺で割れば距離が求められます。
間口と奥行の距離を書き入れる
Excelの図形の線矢印とテキストボックスを挿入して、間口と奥行を書き入れます。
評価額を計算する
とりあえず想定整形地を落としたけど、あとはサッパリだ。
想定整形地ってだいぶ面積デカイし、評価額が上がっちゃうの?
想定整形地が落とせたら、後は計算表に当てこんでいくのよ。
角地の割り増しとか、横長・縦長な土地の割り引きなんかも計算するの。
もちろん、想定整形地と実際の面積の違いも補正するわよ。
へえ、計算表ってどんな感じなの?
想定整形地を比較して、どちらを正面間口にするか決めるの。
次に加算や補正率を当てはめて、掛けたり足したりして評価額を計算するのよ。
算数でできるのか。
それほど難しそうじゃないね。
最後に「土地及び土地の上の存する権利の評価明細書」に記入すれば、路線価方式による土地の評価は完成だわ。
路線価による土地の評価額は、「土地及び土地の上の存する権利の評価明細書」に当てはめて計算します。
補正率は単価を割り引く効果があるので、条件に合うものは、漏らさず適用しましょう。
計算に必要な項目を整理する
「土地及び土地の上の存する権利の評価明細書」に当てはめる項目を整理します。
不整形地の地積は登記簿謄本から、間口から想定整形地の面積までは、地積測量図に配置した想定整形地の距離を使用します。
なお、奥行価格補正率以下の項目は、正面間口として想定整形地のみ確認・計算します。
また、不整形地の間口の距離を、想定整形地ではなく測った距離にすることもできますが、このときは不整形地の補正を適用しません。
路線価を確認する
- 47 千円単位の平米単価
- E 借地権割合
- 47Eを囲む記号 地区区分
地区区分と借地権割合の凡例は、路線価図の上部に記載されています。
路線価の高い道路に面している間口が、正面間口になります。
奥行価格補正率を確認する
奥行価格補正率表の付表1を参照します。
地区区分と奥行距離により決まります。
間口狭小補正率を確認する
奥行価格補正率表の付表6を参照します。
地区区分と間口距離により決まります。
奥行長大補正率を確認する
奥行価格補正率表の付表7を参照します。
地区区分と、奥行距離÷間口距離の値により決まります。
不整形地補正率を確認する
奥行価格補正率表の付表4を参照します。
地区区分と地積から、地積区分が決まります。(A・B・Cのいずれか)
奥行価格補正率表の付表5を参照します。
地区区分と地積区分・かげ地割合により決まります。
評価額を計算する
「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」に当てはめて計算します。
まとめてPDFに清書するので、ここでは鉛筆書きするか、または同じような書式のExcelに入力しておきます。
一路線に面する宅地に該当するときは、「1 一路線に面する宅地」の行のみ記入し、5-1へ飛びます。
二路線以上に面していれば、1.に正面の路線を記入し、その他の路線をそれぞれ2.3.4に記入して5-1へ飛びます。
1 一路線に面する宅地
正面間口のとなる整形想定地の路線価と奥行価格補正率を当てはめて計算します。
2 二路線に面する宅地
正面間口ではない面の路線価・奥行価格補正率と、側方路線影響加算率または二方路線影響加算率を当てはめて計算します。
側方路線価影響加算率
正面間口ではない面が側方路線になります。
T字型、十字型の交差点に面している土地は「角地の場合」の加算率を、L字型の道に面している土地は「準角地の場合」の加算率を適用します。
また、折れ曲がっている一本道に面している土地も「準角地」になりますが、折れ曲がりの角度が広ければ、一路線に接している宅地として扱うことができます。
奥行価格補正率表の付表2を参照します。
二方路線価影響加算率
表裏で道路に面している土地、二ヵ所で道路に面している土地で、正面間口ではない面が二方路線になります。
奥行価格補正率表の付表3を参照します。
三路線以上に接する宅地であれば、3.4にそれぞれ記入して加算します。
5-1 間口が狭小な宅地等
不整形地ではなく、間口狭小補正率または奥行長大補正率が1.00でない場合に記入して平米単価を計算します。
どちらも1.00の場合は省略してもかまいません。
5-2 不整形地
不整形地補正率は計算済なので、根拠数字を各項目に転記し、平米単価を計算します。
6 地積規模の大きな宅地
国税庁のサイトで解説されています。
三大都市圏では500㎡以上、その他の地域では1,000㎡以上の宅地で、一定の条件を満たしたものに適用できます。
Aは地積、B.Cは地域ごとの補正率です。
自用地の評価額
最終の平米単価に地積を掛けて評価額を計算します。