預金の凍結と当座の手続き

預金を始めとする財産を確認するとともに、公共料金の支払停止など当座の手続きを行います。

預金口座は凍結して不要な支払を防ぎます。

準確定申告が必要になる場合もあります。

事前準備

やっと葬儀が終わった。
少しゆっくりしよう。

ダメ! 今やっておくことがあるわ。
故人が一人暮らしだったならなおさらよ。

そうか、実家片付けなきゃ...

それもあるけど、引き落とし止めたり火災保険の名義変更したりとか。
財産が減らないように、できることは済ませましょう。

自分が相続人であることを証明する書類も忘れずにね。

家探し

財産確認の第一歩

被相続人と同居、または被相続人が介護施設へ入居していた場合は、財産のありかも簡単に見つけられます。
事前にある程度の情報共有ができているかもしれません。

しかし、被相続人が独居で家が整理されていないと、財産確認はまず家探しから始まります。
迅速に対処しないと、財産を減らすことになりかねないので、はしたないですが通夜までの空き時間も使いましょう。

郵便物や書類には全て目を通して、財産や支払が必要なものの手がかりを探します。
たんすや戸棚の引き出しも全て確認します。

故人の秘密を暴くようで後ろめたいですが、禍根を残さないための重要な作業です。
思い出の品を眺めるとか、家財の片付けや処分は後回しにしましょう。

探し出すもの

  • 現金・貴重品
  • 健康保険証 介護保険証 年金手帳 受給のお知らせなど
  • 預金通帳 キャッシュカード ATMの払出票など
  • クレジットカード 返済計画表 借入残高のお知らせなど
  • 公共料金の請求書または領収書
  • 新聞代などの請求書 領収書
  • 生命保険等の証書 総代会のお知らせなど
  • 火災保険等の証書 更新のお知らせなど
  • 上場会社の株主通信など
  • 組合(信用組合・農協・森林組合など)への出資証券
  • 固定資産税の納税通知書
  • 確定申告書
  • 源泉徴収票

相続関係を証明する書類を用意

自分の住民票・戸籍謄本・戸籍の附表と、被相続人の死亡診断書、住民票の除票を取得しておきます。

相続の事前準備と葬儀
相続を意識したら、事前に準備できることがあります。自分の住民票と戸籍謄本はコンビニ交付を利用して、いつでも取れるように準備しましょう。葬儀は紹介サイトを使わずに、地元の葬儀社に予め相談しておくと葬儀がスムースに進みます。
市区町村での相続関係の手続き
相続に伴い、市区町村に対する保険関係の届け出と、身分や権利関係の書類の取得が必要になります。住所地や本籍地により、手続き先の市区町村が異なることもあります。葬儀が済んだらすぐに手続きするもの、落ち着いたら手続きするもの、時期が来たら手続きするものがあります。

預金口座を凍結する

口座って勝手に凍結されないの?

されません。
窓口で伝えるだけで凍結されますよ。

銀行の窓口で被相続人の死亡を告げると、それだけで口座は凍結されます。
凍結された口座は入出金できなくなります。

口座振替を停止する

口座が凍結されると、口座振替がストップするのでで、不要な支払を防止できます。
また、振替不能の案内が郵送されるので、被相続人が契約していた内容が把握できます。
なお、銀行によっては、希望により入金と公共料金の口座振替を継続してもらうことができます。

持参するもの

  • 自分の住民票・戸籍謄本・戸籍の附表・免許証等
  • 被相続人の死亡診断書・住民票の除票
  • あれば、被相続人の全ての戸籍謄本・相続関係説明図(なくても可)
  • 通帳・キャッシュカード・ATMの払出票など

訪問先

原則は、取引支店の窓口です。
なお、ATMの払出票だけなど、取引支店がわからないときは、最寄りの支店でも大丈夫です。
正式な残高証明書の発行と口座凍結解除は、取引支店で手続きする必要があります。

窓口で確認すること

  • 取引の有無と取引支店
  • 普通・定期・貯蓄預金それぞれの概算残高
  • 借入があればその概算残高
  • 正式な残高証明の発行手続きと、相続関係(凍結解除)の手続き方法

窓口を訪れたら、「正式な手続きではなく、取引の有無と概算額の確認」と明確に伝えます。
残高証明書の発行依頼は、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要です。
預金や借入の残高は、銀行により単位は異なりますが金額を口頭やメモで教えてもらえます。

住宅ローンが残っていたとき

被相続人の残債(未払)となった住宅ローンは、被相続人が団体信用保証に加入していれば、ここから銀行へ全額返済されるので、相続対象の債務にはなりません。
ただし、抵当権の抹消手続きが必要なので、銀行から受け取れる書類についても確認しましょう。
もし、被相続人が団体信用保証に加入していなかった場合は、住宅ローンも相続対象となります。

その他の手続き

実家が空き家になっちゃうから、公共料金止めなきゃ。

水道は残しておいた方がいいわね。
新聞代や町内会費も払っておきましょう。

公共料金の支払

電気・ガスなどについて、休止や請求先変更の連絡を入れます。
空き家になる場合でも、水道は止めない方がよいです。
相続人であることを証明して、携帯電話も解約します。
新聞などの現金・集金払いがあれば、連絡して支払います。
なお、被相続人の生前の利用期間にかかっていれば、全て相続税上の費用となるので、領収書は必ず保管します。

火災保険

被相続人が持ち家の独居だった場合は、空き家になってしまいます。
当面の間、建物を撤去しないときは、火災保険の更新を忘れないようにしましょう。
保険会社に連絡して、更新時期が来たら自分に通知するように依頼しておきます。

町内会費

被相続人が持ち家の独居だった場合は、空き家になってしまいます。
空き家の管理も当然必要ですが、少なくとも町内会費は支払って、地域で疎ましい存在にならないように心がけましょう。

被相続人が事業主だった場合

故人が事業を営んでいた場合はどうなるんだろう?

準確定申告や株式の相続手続きが必要になるわ。
関与税理士に相談しましょう。

準確定申告が必要か確認する

被相続人が個人事業や家族経営の事業を営んでいたとき、前年に確定申告していれば、準確定申告が必要になる可能性があります。
前年の確定申告に関与した税理士に連絡しましょう。
申告期限は相続開始から4ヶ月以内です。

非上場会社の株式があるか確認する

被相続人が、いわゆる中小企業の経営者や役員であった場合は、その会社の株式を持っている場合があります。
株式をもっているかが不明なときは、会社に問い合わせましょう。
相続による名義書き換えや買取交渉、株式の評価額計算のための資料の提供依頼など、会社とのやりとりが発生します。